つれづれ味わい日記

都内で働く3男児母の備忘録。暇さえあれば本読んでます。

今週の読書記録(210905)

おはようございます☀

 

最近おうち時間は、長男とトランプやUNOで楽しむことが増えてきました。

 

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数字以外のカードがよく分からなくなる長男が自ら作ったカンペ。

 

さて、今週は3冊です。

旅をする木星野道夫(著)

アラスカの厳しさと美しさを感じながら生きる、筆者の感性が鋭くも優しくもあり、佳く生きるとはどういうことか、命あるとはどういうことか、考えさせられる短編集でした。自然の美しさに感じ入ったなら、愛する誰かに伝えたいと願うなら自分が変わることだ。自分が生きている同じ瞬間に、もうひとつの時間が、確実に、ゆったりと流れていることを感じられるかどうか。ひとつの生命が、深く愛し頼りきっていた人が存在しなくなってしまうことを、人の心は許容できない、認められないから死者を存在させつづける信仰ができた。寒いことが、人の気持ちを暖める。離れていることが、人と人とを近づける。

私が最も気に入っている星野さんの言葉は2つあります。

「人生はからくりに満ちている。日々の暮らしの中で、無数の人々とすれ違いながら、私たちは出会うことがない。その根源的な悲しみは、言いかえれば、人と人とが出会う限りない不思議さに通じている」の言葉。すれ違うから出会いは嬉しいし、不思議だし、有り難いということ。そしてもう一つは、星野さんが大事な人との死別を「しばしの別れ」と表す深さ。出会いにも別れにも永遠などないのだな、と感じます。

 

 

 

「他者と働く 「わかりあえなさ」から始める組織論」宇田川元一(著)

「わかりあえなさ」を認め、お互いの「ナラティブ」を認識した上で、動く。準備→観察→解釈→介入のプロセスが大事、という論理です。非常に興味深く読みました。

「私とそれ」ではなく「私とあなた」と、相手を道具ではなく人だと心の目で見る。当たり前のようですが大事なこと、できていない人も多い。ここの見方を誤ると何もかも厳しくなる。介入して働きかける対象は「人」でなく「関係性」だということ。対立ではなく対話が大事。

 

孤立を大切にするためには、孤立してはならない。

という一文がありましたが、自分の世界観を大事にしないことには、自分自身も誰かと進める仕事も上手くいかないと、私は解釈しました。完全に分かり合うとは無理な話ですし、その必要はないのではないかと。自分の世界観を伝える努力をする、誰かとの世界の中にいる自分の存在を認める、誰かと仕事や生活を営む上でのモラルやエチケットを守ることは必要です。

 

 

 

「世界にひとつだけの「カワイイ」の見つけ方」増田セバスチャン(著)

Twitterでおすすめしている方がいて、ジャケットとタイトルが気になったので。奇抜な表紙とは裏腹に、これまた「自分の世界観を守りながら、どう生きるか」の哲学書でした。

増田セバスチャンさんは「カワイイ」について「自分だけの“小宇宙” それは、だれも邪魔することができない、自分だけが愛でることができる“小さな世界”」だと定義づけています。まさに「自分だけの世界観」!

自分が好きな色を自分自身が認められるか、そんな自分を無条件に好きでいられるか、その色を外に出せるか、皆が色とりどりに生きることができたら、力強く素晴らしい世界が見られるはずだと言っています。そしてその色というのは華やかな、明るいもののみを指しているのではなく、影の部分や短所、コンプレックスも込みで言っています。

人と違うことをするときに、一歩踏み外す勇気を持てるか。それは自分自身の問題だけでなく、自分の外に心の支え、セーフティネットが一つでも存在するか、も大切な要素になってきます。そんな小さな積み重ね、幼少期や日常生活で自分の色を持ち踏み外した経験がある人は、やるべきか、やらないべきか、重要な選択と大きな決断を迫られたときにも、臆することなく世界を広げられるのだと思います。

襲ってきたタイミングを、ためらうことなく掴めるか。「売れるもの」「儲かるもの」への画一化、個性という毒が抜かれる「空洞化」に耐えられるかどうか。身の回りも社会も色を変え続ける中で、自身の色を守れるか、は生きる上での重要なテーマになりそうです。