つれづれ味わい日記

都内で働く3男児母の備忘録。暇さえあれば本読んでます。

今週の読書記録(190909)

おはようございます。

昨日は台風、すごかったですね。一過してひと安心…していたら、住んでいるマンション共用部分の窓ガラスが一部割れてました。

台風のあとの、潔い晴れ間が昔から好きです。

 

「火星に住むつもりかい?」伊坂幸太郎(著)

引き続き伊坂幸太郎作品を読んでいます。ちなみに夫は、村上春樹作品の1Q84を読み始めた様子。文庫本6冊というボリュームですが、内容がとても面白いらしく1日1冊ペースの日も。

「火星に住むつもりかい?」に話を戻すと、犯罪を未然に防ぐ、悪人と思われる人はどんな手を使ってでも、本当は悪人じゃなくても見せしめのために取り締まる組織、平和警察が設置された街が舞台。

身に覚えがなくても拷問や処刑されるとか、酷すぎて最初は読みたくなくなる頁も多々。

「悪いことをしたらこうなる」と見せつけられ、逃げ場がなくなると人は「自分だけは悪くない」「自分は正しい」という気持ちを拠り所にするんだろう。それに加えて「無理なことをしている」罪悪感が原動力となり、本当のことがわからなくなる、疑心暗鬼の世界へ。

自分を守ることで手いっぱいになると、使命感がゆがんだ形になる。本心がゆがむ。善悪の基準も変わる。

こちらの正義があちらの悪、もあればこれまでの正義が今の悪、っていうことも起こりだす。

みんなの大事なものを守るために、戦争はそのかけ声で始まる、という言葉や、人が善意と偽善に苦しむ様子も強く印象に残りました。

力の持ち方として武力は得策じゃない、という話も。武力で制することは、相手が成長したり、より強い武器を持った途端に効果がなくなる。

暴力的な武力を使わずどう戦うのか。アリは羽をなくして地を這うことにした結果繁栄した最も怖い昆虫の一つだそう。相手の力を利用してやっつける合気道という武術。あとは使う言葉や思考を磨くこと。

最初は抵抗があったけど、作り込まれたストーリーも強烈なメッセージも気に入る一冊となりました。