つれづれ味わい日記

都内で働く3男児母の備忘録。暇さえあれば本読んでます。

今週の読書記録(190708)

「複合汚染」有吉佐和子(著)

裏表紙のあらすじを紹介するのが一番伝わると思うので、記します。

「工場廃液や合成洗剤で河川は汚濁し、化学肥料と除草剤で土壌は死に、有害物質は食物を通じて人体に蓄積され、生まれてくる子供たちまで蝕まれていく……。毒性物質の複合がもたらす汚染の実態は、現代科学をもってしても解明できない。おそるべき環境汚染を食い止めることは出来るのか?小説家の直感と広汎な調査により、自然と生命の危機を訴え、世間を震撼させた衝撃の問題作!」

私が気にしていることが、凝縮された一冊です。40年も前から言われているんですね、今の状況はどう転んでるんだろう。良いほうか、悪いほうか、変わってないのか…。一度読んだら考え方、暮らしの中で何を選ぶか、何を重要視するか、子どもに何を残したいか教えたいか、間違いなく変わる。「ああすればこうなる、だからこうしよう」の回路は単純ではなくて、難しくて膨大な問題が山積みにせよ(物事もこの消費社会も、不自然に複雑になりすぎているんですね。)、亀の歩みがないと始まらない。私たちはせっかく考えることができるのだから、人間らしく考えて行動して失敗して、また考えて…を繰り返していきたいです。

 

「こどもキッチン、はじまります。2歳からのとっておき台所しごと」石井由紀子(著)

中高からの友人Kがおすすめしてくれた一冊。これも良かったです!著者の石井先生は三人のお母さん、モンテッソーリを学び「こどもキッチン」という料理教室を開かれています。2歳になるとなんでもやりたい時期ですよね。食材をたたく、つぶす、まぜる、きるなどの工程について、子どもと台所に立つ際に親が注意すること、また子どもと一緒に作れるお料理のレシピが載っています。はまさきはるこさんのイラストもゆるっとしていて、とても可愛いです。料理でもほかの場面でも「気が済むまでやらせる」がなかなかできない私です。もうすぐ3歳になる長男が、いろいろ手強くなってきました。時間がない、これやってほしくない、もう終わったのになんでまだ続けちゃってるの、散らかさないで…私の都合でストップをかけてしまうこと、多々ありです。そして爆発して怒り散らしてしまうことも、全然ある。。。イヤイヤ期っていう言葉が嫌いなので私は使いませんが、それに同意してくれたある人が「イヤイヤ期を、やるやる期と言い替えて考えている」と聞いておおーー最高にポジティブ!と思いました。その境地にはたどり着けていないのだけど、「信じて待つ」を意識します。

 

rmoryrim.hatenablog.com

 

 

「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる」幡野広志(著)

何かの本で紹介されていて、予約したものがようやく手元に届きました。写真家の幡野さんは3歳の息子さんがいて、がん患者でもある。この本は息子さんに伝えたい言葉、私のような育児をする人にも、そうじゃない人にも響く言葉が詰まっています。本当の優しさって何だろう、子どもに身につけてほしい強さ、お金と仕事との付き合い方、命と幸せをどう考えるか。死ぬ運命だからこそ、生きている時間をどう過ごすのか、真剣に考えた方がいい。暇を持て余す人生も、家族を悲しませる人生も、他人を傷付ける人生も、嫌だ。明るく真っ直ぐ生きたい。

幡野さんは狩猟免許を持っている。がんを公表したところ、動物を殺して、その肉を食べてきたのだから自業自得だ、などと言われたそうだ。がんになりたい人なんて誰一人いないだろう。私はがんになりました、という宣言は決して明るい宣言じゃない。勇気を持って病気を公表した人に、このような言葉を発する人がいるということが信じられない。

幡野さんの本には心に留めておきたい言葉がたくさんあったけど、この件についてが一番、頭から離れないので気持ちを書いてみたい。

私は狩猟をしようとは全く思わない、というかできない。できないから、お肉を食べないっていうところもある。肉、乳製品、卵を摂らない生活を昨年の冬から続けているけど、それは「共食いはしたくない」「自身の健康を真剣に考えた」末の結論である。もちろん環境負荷の懸念からの行動でもある。

狩猟は趣味でしている人が多いのだと思っていたけど、これは全く私の勉強不足だった。農地を守るための駆除として行われることも多いそう。動物を「害獣」と呼び、駆除しないと人間の生活が守られない状況がやるせないが、現状はそのような活動が、動物に近い場所では必要とされている。

幡野さんに自業自得だと暴言を吐いた人は動物愛護家、菜食主義者だったようだけど、私たち人間は誰もが地球を汚しながら、資源を消費しながら、命を犠牲にしながら生きていることに間違いない。自然の中で私たちは「生産者」ではなく「消費者」でしかないことは忘れちゃいけない。狩猟をしていたから殺人者、自業自得だ、ヴィーガンは全く殺さない、無罪という話ではないだろう。いろいろものを壊してしまっている中で私は食生活に限って言えば「牛豚鶏由来のもの(あと、ハチミツも。羊肉とか馬肉とか鹿肉なども食べませんよ。)は食べない」「農薬や化学肥料を使う米と野菜を支持しない」と決めているだけで、そのボーダーラインをどこで引いても、自然やそこにいる動物を侵していると考えている。その事実を受け止めたうえで、何ができるのか、何を選ぶのか、どうしたらいいのかを考えているつもりだ。

 

天地返ししました!2月に仕込んだ味噌、仕上がりつつあります。


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